
- 競技規則をしっかり読み込んだことがない状態で審判をやっていて不安
- 教えてもらう機会がなく、いつもなんとなく審判をやっている
- サッカー審判初心者で2023/24改正がどのように影響があるのか分からない
これらの不安や疑問などを抱えてまま競技規則が変更となったと聞いても、何に注意すれば良いのかが分からないですよね。
私は1種~4種まで現場でレフリーをやり、緊迫したゲームの中で、コーチや監督・選手たち・観客全員が「今のはその判断で合ってるよね」と一致した見解を得るのはとても難しいと肌で感じています。
その認識の誤差を解消するため、2023年7月に開催されたCFAサッカー競技規則改正説明会に参加してきました。
現役のJ2審判員の方など話も聞いた上で、少年サッカーの現場で初心者レフリーが特に頭に入れておくと良い点に絞ってご説明していきます。
Contents
2023/24の改正により観客・選手・審判でズレが生じるリスクが高まる懸念
サッカー審判を始めたばかりの4種審判で特に難しいと感じるのは、オフサイドとファウルのジャッジではないでしょうか。
今回はオフサイドとファウルに絞って、現場ですぐに使える知識としてご紹介していきます。
改正となったオフサイドの反則の概要
(JFA公式|オフサイド意図的なプレーの明確化 説明映像)
意図的なのか、ディフレクション(偶発的なのか)をジャッジする現場の審判団の肌感覚がとても大事になってきました。
意図的に触っているのか、たまたま当たってしまったのか、これをジャッジする必要があります。
意図的なプレーかどうか、という点についてコメントをいくつかご紹介します。
- VARが使用できるプロの試合でも判断するのキツそうなのに、高校サッカーとかアマチュアの試合で判定下すのはかなり難しそう
- 意図的なプレーはある程度判断出来るが、
体制が整っていなかった、相手競技者と競り合っていたから意図的なプレーが出来なかった、、、この判断をするのは難しい - 難しくなったといっても曖昧だったものが、明確になっただけ。
最初からむずすぎる。
オフサイドポジションにいる選手に、相手競技者が触ったボールが意図的にプレーしたボールかどうか、を判断する必要があります。
意図的だ!と判断したのであれば、思い切ってオンサイド判断をしなければなりません。
改正となったファウルと不正行為の概要
SPA(Stop a Promising Attack(大きなチャンスとなる攻撃の阻止))とDOGSO(Denying an Obvious Goal Scoring Opportunity(決定的な得点機会の阻止))が明確になりました。
守備側のチームがペナルティエリア内でボールにアタックにいき、大きなチャンスを阻止した(SPA)のであればペナルティキックで警告なし、DOGSOであればイエローカード(警告)となります。
ボールにチャレンジしていないファイルをこれまで通り警告または退場になります。
オフサイドのディレクションなのか意図的なプレーなのかを判断する基準
オフサイドの要件(11条)を確認してみましょう。
ボールが味方競技者によってプレーされたか触れられた瞬間にオフサイドポジションにいる競技者は、次のいずれかによってそのときのプレーにかかわっている場合にのみ罰せられる。
・味方競技者がパスした、もしくは触れたボールをプレーする、または触れることによってプレーを妨害する。または、
・次のいずれかによって相手競技者を妨害する。
・明らかに相手競技者の視線をさえぎることによって、相手競技者がボールをプレーする、もしくは、プレーする可能性を妨げる。または、
・ボールに向かうことで相手競技者にチャレンジする。または、
ボールを「プレーした」か「触れた」最初のコンタクトポイントを用いるべきである。
・自分の近くにあるボールを明らかにプレーしようと試みており、この行動が相手競技者に影響を与える。または、
・相手競技者がボールをプレーする可能性に明らかに影響を与えるような明白な行動をとる。
または、
・その位置にいることによって、次の場合に、ボールをプレーして利益を得る、または相手競技者を妨害する。
・ボールが、ゴールポスト、クロスバー、審判員もしくは相手競技者からはね返った、またはそれらに当たって方向が変わってきた。
・相手競技者によって意図的にセーブされた。
*「意図的なプレー(意図的なハンドを除く)」とは、競技者がボールをコントロール下において、次のプレーができることである。
・ ボールを味方競技者にパスする、
・ ボールを保持する、または、
・ ボールをクリアする(例えば、ボールをけって、またはヘディングして)。
これは、競技者がコントロールできる状況にあるボールをパスする、保持しようと試みる、または、クリアすることがうまくいかなかったり、失敗したりした場合であっても、ボールを「意図的にプレーした」という事実を無効にするものではない。
競技者がコントロールできる状況にあるボールを、結果的に、「意図的にプレーした」とみなす指標として、必要に応じて、次の基準が使われるべきである。
・ ボールが長く移動したので、競技者はボールをはっきりと見えた。
・ ボールが速く動いていなかった。
・ ボールが動いた方向が予想外ではなかった。
・ 競技者が体の動きを整える時間があった、つまり、反射的に体を伸ばしたりジャンプせざるを得なかったということでもなく、または、かろうじてボールに触れたりコントロールできたということではなかった。
・ グラウンド上を動いているボールは、空中にあるボールに比べてプレーすることが容易である。
オフサイドポジションにいる競技者は、相手競技者が意図的にプレーしたボールを受けたとき、意図的なハンドの反則を行った場合も含め、利益を得ているとはみなされない。ただし、意図的なセーブからのボールを除く。
「セーブ」とは、ゴールに入りそうな、またはゴールに近づいたボールを競技者が手や腕(自分のペナルティーエリア内でゴールキーパーが触れた場合を除く)以外の体のいずれかの部分を用いて止める、または止めようとすることである。
その他の状況として、
・オフサイドポジションから移動した、またはオフサイドポジションに立っていた競技者が相手競技者の進路上にいて相手競技者がボールに向かう動きを妨げた場合、それにより相手競技者がボールをプレーできるかまたはチャレンジできるかどうかに影響を与えていれば、オフサイドの反則となる。その競技者が相手競技者の進路上に入って(相手競技者をブロックするなど)相手競技者の進行を妨げていた場合、その反則は、第12条に基づいて罰せられるべきである。
・オフサイドポジションにいる競技者がボールをプレーする意図をもってボールの方へ動いたが、ボールをプレーする、プレーしようとする、もしくはボールに向かうことで相手競技者にチャレンジする前にファウルされた場合、オフサイドの反則より前に起こったファウルが罰せられる。
・オフサイドポジションにいた競技者が既にボールをプレーした、もしくはプレーしようとした、またはボールに向かうことで相手競技者にチャレンジした後に、この競技者に対して反則があったならば、ファウルとなるチャレンジより前に起こっているオフサイドの反則が罰せられる。(サッカー競技規則2023/24より)
動画にリンクしている文章がとても重要な部分です。
意図的なプレーとは以下の部分を当てはめてジャッジすることになります。
競技者がコントロールできる状況にあるボールを、結果的に、「意図的にプレーした」とみなす指標として、必要に応じて、次の基準が使われるべきである。
・ ボールが長く移動したので、競技者はボールをはっきりと見えた。
・ ボールが速く動いていなかった。
・ ボールが動いた方向が予想外ではなかった。
・ 競技者が体の動きを整える時間があった、つまり、反射的に体を伸ばしたりジャンプせざるを得なかったということでもなく、または、かろうじてボールに触れたりコントロールできたということではなかった。
この判断は、人によって分かれてしまう部分なので現場で判断するのはとても難しいですよね。
遅いと言えるボールなのか、予想外ではないのか、現場の雰囲気を感じ取ってジャッジする必要もあるので難易度はとても高いと思います。
SPAとDOGSOの明文化
ペナルティエリアでのボールへのチャレンジしたファイルは、一段階下がる懲戒の罰則が明確になりました。
反則で大きなチャンスを阻止した場合にはペナルティキックで警告なし(イエローカードなし)、DOGSOは警告(イエローカード)となりました。
ボールへのチャレンジではない場合には、変わらず警告または退場でペナルティキックなので注意しましょう。
小学生のサッカーでもたまにDOGSOは起こります。
しっかりと以下の4要件を頭に入れておきましょう。DOGSOであれば、迷わずにイエローカード(ペナルティエリアの場合)またはレッドカードを出さなければなりません。
- 反則とゴールとの距離
- 全体的なプレーの方向
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
- 守備側競技者の位置と数
上記のDOGSOの4要件全てを満たしていない場合のファウルは「SPA」となります。
JFAの公式動画で改正点をしっかりチェックしよう
JFA公式動画はとても分かりやすく短くまとめられているので、1度目を通しておきましょう。