
「FIFAランキングは参考になるのか」
サッカーファンであれば、FIFAランキングが実際の国のレベルに合っているのか疑問に感じることは一度や二度ではないはずです。
2021年5月時点の1位はW杯を優勝していないベルギーで、アフリカの強豪ナイジェリアが32位で日本よりも下にます。違和感を感じずにはいられません。
直近の試合を例にFIFAランキングにどれほどの精度なのか検証してみます。
Contents
FIFAランキングの検証方法と結果
公式ページのFIFAをランキングを参考に直近の国際Aマッチの試合をランダムに選択し検証してみました。結果は以下の通りです。
- 引き分けまで含めた的中率は65.8%(38試合中25試合)
- 引き分けを除いた的中率は75.8%(29試合中22試合)
引き分けを除いた的中率は、75%と高い水準。
国名の横の()はFIFA順位(2021年5月時点)を記載しています。FIFAランキング通りの勝敗であれば〇、違っていれば×で表示しております。
EURO2020の試合結果(2021年6月14日時点)
ウェールズ(17位) vs スイス(13位)→1-1で引き分け ×
デンマーク(10位)vs フィンランド(54位)→0-1でフィンランド勝利 ×
ベルギー(1位) vs ロシア(38位)→3-0でベルギー勝利 〇
イングランド(4位)vsクロアチア(14位)→1-0でイングランド勝利 〇
オーストリア(23位) vs 北マケドニア(62位)→3-1でオーストリア勝利 〇
オランダ (16位) vs ウクライナ (24位) → 3-2でオランダ勝利 〇
FIFAワールドカップ南米予選
エクアドル(53位)vsペルー(27位)→1-2でペルー勝利 〇
ベネズエラ(30位)vsウルグアイ(9位)→0-0で引き分け ×
コロンビア(15位)vsアルゼンチン(8位)→0-0で引き分け ×
パラグアイ(35位)vsブラジル(3位)→0-2でブラジル勝利 〇
チリ(19位)vsボリビア(81位)→1-1で引き分け ×
FIFAワールドカップアジア予選
マカオ(182位) vs スリランカ(203位)→1-0 〇
ラオス(185位) vs バングラデシュ(184位)→0-1 〇
カンボジア(173位) vs パキスタン(199位)→2-0 〇
ブータン(187位) vs グアム(197位)→1-0 〇
日本(28位)vsモンゴル(192位)→ 14-0 〇
日本(28位)vsミャンマー(138位) → 10-0 〇
日本(28位)vsタジキスタン(121位)→4-1 〇
FIFAワールドカップ北中米カリブ海予選
エルサルバドル(69位) vs グレナダ(160位)→2-0 〇
米領バージン諸島(207位) vs アンティグア・バーブーダ(128位)→0-3 〇
モントセラト(180位) vs エルサルバドル(69位)→1-1で引き分け ×
グレナダ(160位) vs 米領バージン諸島(207位)→1-0 〇
モントセラト(180位) vs 米領バージン諸島(207位)→4-0 〇
アンティグア・バーブーダ(128位) vsグレナダ(160位) →1-0 〇
米領バージン諸島(207位) vs エルサルバドル(69位)→0-7 〇
グレナダ(160位) vsモントセラト(180位) →1-2 ×
エルサルバドル(69位) vs アンティグア・バーブーダ(128位)→3-0 〇
FIFAワールドカップアフリカ予選
エチオピア(140位)vs レソト(146位)→0-0で引き分け ×
ブルンジ (141位)vs タンザニア(137位)→1-1で引き分け ×
南スーダン(169位)vs赤道ギニア(132位)→1-1で引き分け ×
モーリシャス(172位)vs モザンビーク(117位)→0-1 〇
サントメ・プリンシペ(190位) vsギニアビサウ(108位)→0-1 〇
リベリア(151位)vsシエラレオネ(114位)→3-1 ×
FIFAランキングの計算方法
FIFAランキングは、1992年12月から開始され2021年までに4度計算方法が更新されています。2018年から利用されているランキング計算方法は以下の通りです。
ただし、W杯や大陸選手権の本大会の決勝トーナメントの試合に関してはポイントの加算のみ行い、減算は行わない
【試合の重要度係数(A)は8段階で重要度を判定】
ポイント | 内容 |
5 | 国際Aマッチデー以外の親善試合 |
10 | 国際Aマッチデーの親善試合 |
15 | 各ネーションズリーグのグループステージ |
25 | 各大陸選手権予選とFIFAワールドカップ各大陸予選、各ネーションズリーグのファイナルフォー(最終リーグ)とプレーオフ |
35 | 各大陸選手権本大会(の準々決勝以前の全試合 |
40 | 各大陸選手権本大会準々決勝以降の試合(準々決勝、準決勝、3位決定戦、決勝)、FIFAコンフェデレーションズカップの全試合 |
50 | FIFAワールドカップ本大会準々決勝以前の全試合 |
60 | FIFAワールドカップ本大会準々決勝以降の試合(準々決勝、準決勝、3位決定戦、決勝) |
【試合の結果係数(B)】
以下の係数を
- 勝ち:1
- PK戦による勝ち:0.75
- 引き分け・PK戦による負け:0.5
- 負け:0
【試合の期待結果係数(C)】
この式がかなり厄介に見えますが、Excelを使うとなんてことない計算式です。
1 ÷ (10^(D÷600) + 1)
※ D=(対象国の対戦相手の試合前のポイント) – (対象国の試合前のポイント)
実際に2018年以降のFIFAランキング手法で計算してみる
計算は以下の前提でやってみます。
- FIFAランキング28位の日本がFIFAランキング1位のベルギーと対戦
- FIFAワールドカップ本大会決勝
- 日本がベルギーの勝利
上記の場合にどのくらいのポイントが日本に付くのかを計算してみます。
試合の重要度は、FIFAワールドカップ本大会決勝なので「60」ポイントです。そして勝利したため「1」の係数を掛けます。そして最後に試合の期待結果指数を計算します。
1 ÷ (10^(D÷600) + 1)の式に入れるDは(対象国の対戦相手の試合前のポイント) – (対象国の試合前のポイント)の数値です。ベルギーは1,783.38ptsであり日本は1509.34ptsですので274.04ptsがDの数値です。
274.04を1 ÷ (10^(D÷600) + 1)に入れて、計算をすると0.25890505という数字が計算されます。60×1×44.46569703を計算するとおよそ44ptsが加算されることになります。
同様の計算で、ベルギーに引き分けた場合にはおよそ14pts、W杯の決勝トーナメントで負けた場合はマイナスはされません。
FIFAランキングを上位に押し上げるための2つの戦略
- 公式戦で勝つこと
- FIFAランキング上位の欧州国となるべく多く試合をすること
上記がFIFAランキングをあげるための戦略です。日本は2018年にAFCアジアカップで準優勝した時に、FIFAランキングを50位から28位まで一気に順位を押し上げました。
2022年のカタールW杯と2023年のAFCアジアカップで好成績を残し、TOP10入りする日本を早く見たいですね。