新入行員の大失敗。法人営業で足らなかったのは「プロ意識」
銀行員のよくある失敗といえば、債権書類や伝票の不備が思い浮かびますよね。
しかし、私はプロ意識の欠如によって担当先を破綻へと追い込んでしまう大きな失敗を冒してしまいました。
「なんであの時もっと社長のことを考えてあげられなかったのか」12年経った今でも悔やんでいます。銀行員の法人営業では、社長の思いを汲み取りつつ謙虚に自分の意見を言うことが何より大切なことです。
「銀行員ってこんなもんなのか」と絶望している新入行員のあなたに、ぜひ届けたいエピソードを話します。
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『社長の優しさ』と『新人』という言葉に甘えていた
1年目の後半は法人営業担当として既存の担当先を数社任されました。様々な業種がある中で革製品でカバンを製造する企業を担当してしました。
その企業は、社長と奥様と娘様3人でやっているようないわゆる零細企業です。訪問をするといつも優しくニコニコと出迎えてくれる雰囲気の企業でした。
社長からの「最後の勝負をしたい」との申し出
一時期の売上は2億円ほどあったものの担当する1年ほどから業況が悪化。売上も3,000万くらいまで落ち込んでいました。そんなときに、社長より
「〇〇くん(私)、最後の勝負で店舗で今の作っている鞄を販売したい」
との相談を受けました。しかし、業績としては現状以上の資金を出すことができなかったため悩みました。
そして議論を重ね、娘様を個人事業主とすることで新規店舗のオーナーとするなら新規で資金を出せるのでは?という結論に至りました。
保証協会付の貸出なら良いとの銀行内の了承
信用保証協会付(住宅ローンの団体信用生命保険のようなもので、貸出資金に信用保証協会の保証を付ける貸出形式)なら良いと銀行内で合意を得ることができました。
信用保証協会に直接出向き、信用保証協会の担当者へ直談判をしました。1回目では「正直、非常に厳しと思います」と回答をもらいました。かなり冷たくあしらわれました。
しかし「なんとか社長の最後の思いを叶えたい!」という気持ちで「なんとかお願いできないか」としつこく交渉をしました。
結果、2か月ほど時間がかかりましたが、満額の2,000万の回答を得ることができました。
新規出店後6か月で閉店
新規出店したもののすぐに販売不振となり閉店。その後、私は転勤となり別の支店に異動が決まりました。
およそ2年後、当時の課長より「〇〇さん(わたし)の担当してた〇〇の社長が亡くなった。下痢が続き体調を崩してしまったらしい。新規出店後、閉店後相当な心労があったみたい。」
事業計画、財務分析が本当に十分だったか。感情や自分の成績で動いていたのではないか。社長の思いだけで動いていた自分に恥じました。
サラリーマンであっても必要なのは『プロ意識』
銀行員に限ったことではないですが、営業にはノルマがあります。しかも、そのノルマが高すぎるためにどうしても自分目線になってしまいます。
「あと、目標まで3億。。あの企業とあの企業で3,000万貸して。。あとは・・・」
と貸すことだけに意識が向いてしまいます。自分が経営者であれば、自分の目標しか考えていない担当者に本心で相談をしたいとは思わないはずです。
企業のトップである社長は、毎日が真剣勝負です。社長の気持ちを汲んだ上で提案できる知識が必要です。
財務会計と管理会計の最低限の知識は必要
社長と対等に話すには、特に会計知識が不可欠です。決算書を分析するために財務会計ばかりに目がいきますが、企業内で行われている管理会計を知ることで財務会計の理解が進みます。
読んで特におすすめなのが以下の『管理会計の基本』です。
まとめ
サラリーマンだとなかなか持つことが難しいプロ意識。
誰でもなることができるような職業ではない銀行員にプライドを持ってプロとして堂々と社長と話せるスキルをつけてください。
社長の言ってきたことに対して誠意を示して自分の意見が言える知識をぜひつけてください。
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