
- 「自分の理想のサッカー像が持てていない」
- 「自信を持って選手たちに指導ができない」
- 「練習や試合後、響くコメントが言えない」
コーチをやっているとこんな悩みってありますよね。
私はサッカー歴30年のベテランのはずなのにコーチをやり始めて2年間、サッカーを何も分かっていない自分を認めることができずなかなか勉強し直す一歩が踏み出せませんでした。
「おれは全くサッカーを知らない。こんな不甲斐ない自分がコーチをやってていいのか。」
そんな自問を繰り返しているうちに、「やっぱり悔しい!もう一度サッカーを勉強し直そう」と決意しました。
そこで改めて原点である
「そもそもサッカーって何なんだろう」と漠然とした疑問を解決しようと考えドンピシャの本に出会いました。
本の中身を見てみると『戦術的ピリオダイゼーション』と『構造化トレーニング』という2つの理論について書かれており答えに近付けるような大きな期待を感じました。
買ってじっくり読んでみると「何この理論!面白過ぎる!」と求めていた答えが目の前にある興奮は忘れられません。
何度も読み返し「やっぱりサッカーって面白い!」というサッカーに対する情熱がふつふつと内側から再燃してくるのを感じました。
この記事で
- 『戦術的ピリオダイゼーション』と『構造化トレーニング』ってこんなイメージのもの
- 実際の少年団コーチとして活かせること
について詳しく書いていきます。本書を読み終えると何を学んでいくべきか方向性が見えてきますよ!
Contents
『サッカーとは何か』が少年サッカーコーチ初心者におススメしたい3つのポイント
分かりやすい構成
本書では戦術的ピリオダイゼーション』と『構造化トレーニング』の2つの理論を紹介しています。
目次を見て、「あっ!サッカーを知るためにまず理解しないといけないのはまずはこの2つなんだ!」と分かりやすく示してくれています。
図解でサッカーの理解が深まる
文章で読んだ後に図解も容易してあるので理解が非常に進みます。
文章だとちょっと分かりづらい内容も図解を見ると「そうゆうことか!」と腑に落ちたことがいくつもありました。
図解を用意してくれているのは非常に助かりますし、図解をみながら文章を読むといっそう理解が進みます。
『例え』が多く非常に分かりやすい
構造化トレーニングを説明するには火と水。火を消すには水(H2O)が必要だが水素(H)と酸素(O)を分けた状態で火に加えたら爆発炎上してしまう。あくまでも構造(H2O)という構造が必要。(P149)
など、「あれ?どうゆうこと?」と思ったときにはたとえを多く入れてくれているので初心者でも躓くことなく読み進めることができます。
著者である林舞輝とは何者か?
(JFL奈良クラブ公式サイトより引用)
生年月日 | 1994年12月11日 |
学歴 |
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経歴 |
25歳での監督就任は日本の全国リーグで史上最年少 |
偏差値70を超えて東大合格者を多く輩出している名門高校を卒業後に、イギリスに留学して25歳でJ3の監督に就任(しかも史上最年少)と輝かしい学歴と経歴です。
サッカーへの情熱が溢れている
読売サッカークラブのユースでプレーしドイツへ行った父とアメリカの大学でサッカーをやり少年団でコーチをやっていた母(本書P232より引用)
小さなころからサッカー漬けで家族の会話はほとんどがサッカーだったようです。
とてもとてもとても面白くなってきて、気が付いたら、愛していた(本書P4より引用)
こんなサッカー愛が本からもたくさん伝わってきます。
テレビ東京スポーツさんのyoutube動画でもサッカーへの溢れる思いや「本当にサッカーが好きなんだな」という気持ちを感じ聞いているだけで楽しくなってきます。
(テレビ東京スポーツ公式|【世界最高の監督・モウリーニョから学んだ唯一の日本人】 JFL奈良クラブ・林舞輝のトレーニング講座【カウンター編】より引用)
本書からコーチとして学べることはたくさんあります。その中で一番心が惹かれたイギリスでのチャールトンFC (U-10)スクールコーチの時の話でした。
プレミアリーグの実力が高い理由
殴りに行こうかと思いましたし、イングランドのサッカーが嫌いになりそうでした。(本書241)
イングランドって、非常に綺麗でオシャレなイメージを持っていましたが、林さんがコーチを務めたチャールトンは労働者階級が多く、ガラも口も悪い場所であったようです。
U-10の少年たちが一生懸命プレーしていても周りの大人たちが子どもたちに向かってヤジってバカにした笑いをしてくるような日本ではタブーとされているマナーが普通に行われている環境。
10歳でもからタフなイングランドの環境
そんな時に林監督はイングランドのサッカーに絶望しかけました。
しかし、そこでアフリカ系の素晴らしい10歳のプレイヤーが周りからのヤジに対して何も気にせず試合に集中している光景を目にし「こんな小さな頃からタフな環境で育っているのか」と林監督は感じたといいます。
こんな選手たちに勝つにはどうすればいいのか?を必死に考えた末に『戦術的ピリオダイゼーション』と『構造化トレーニング』にたどり着いたそうです。
どうやって日本がタフなイングランドに勝てるのかって非常に面白い視点ですよね。
サッカーコーチの声がけに大切なことは『人を動かす』にすべて書かれていた
戦術的ピリオダイゼーションとはどんなもの?
本書で林監督の定義を引用すると
従来のフィジカルコンディションのためのピリオダイゼーションに、さらに各チームのプレー原則やゲームモデルなどの戦術的要素を組み込んだ『意思決定』の統一による『チームシンクロ』を目指すトレーニングメソッド(P20)
すごい難しい理論に感じますよね。
私なりの解釈は、コーチや監督は自分のやりたいサッカーを具体的に描いて、それを今の選手たち、地域性、設備、父兄の思いを組み入れてみんなで共通のモデルを作る。
そのモデルを実行していくために、行動規則を作り無意識にできるレベルまでチームメンバー全員に浸透させるというものだと理解しました。
まずは、たくさんサッカーの試合をみて自分のやりたいサッカーを決めることが全ての出発点となります。
どんなふうにサッカー像を決めていくか私なりのやり方を別記事で解説していきます。
構造化トレーニングとは?
物事を理解するおには、部分や要素を見るだけではなく、その構造そのものを理解しなければならない。オーケストラの曲を楽器のパートごとに聴いていっても誰も感動しないだろう(P148より引用)
選手たちの個人の能力を8つの構造に分類し構造としてとらえるというP156〜170の内容は目から鱗でした。
選手たちを8つの面から細かく分析して、それぞれに合った伸ばし方を考えなければならないと気付かされました。なんとなく理解するのではなく選手たち1人ひとりについて時間をかけて情報を整理する必要があると分かりました。
本書を参考にした詳しい伸ばし方考察は別記事で書いていきます。
まとめ
サッカーとは何かという答えを探していくために『戦術的ピリオダイゼーション』や『構造化トレーニング』が正解ではないが、知っておくと引き出しが増えるから指導者としては大切なことと林さんは書いています。
自分が何を学んでいかなければならないか方向性を知れる本です。
ぜひ一度読んでください。指導者は必読です。